第17回ハンブルク日本映画祭
Notice! After our printed festival brochure’s editorial deadline there were some changes to movie screening starting times and some errors found. The accurate movie data and starting times you can find here on our website at the correspondent movies and in our always updated version of the festival’s timetable. You’ll find a summary of all changes on our ► errata-page ◄.
第18回ハンブルク日本映画祭 ―冷酷と繊細の狭間で- 日本映画と純粋性の喪失
今年もいよいよ5月末日に幕を開ける第18回ハンブルク日本映画祭(JFFH)。Metropolis、3001、そしてStudioの3映画館にて最新の作品が数多く上映され、日本映画ファンにとって至高の5日間となります。
今年のJFFHは「揺れ動くこころ」がテーマです。純粋性が失われるとき、ときに一つの人生が絶望に追い落とされ、ときに社会全体が根幹から揺るがされます。すべてを飲み込む愛、自らを脅かす危機に立ち向かう抒情的なパトス、日本の映画監督たちは社会的制約から生まれる爆発的な感情の吐露を、情熱的に描き出します。個人的な感情の抑圧を強いられる日本社会において、これを開放する安全弁としての役割をも担う映画。この、揺れ動く感情と正面から立ち向かう勇気が、全世界の日本映画ファンを強く惹きつけるのです。今回のオープニングフィルムも、まさに異常事態に陥った人間の存在主義的なドラマを映しだします。トラウマ的な体験によって狂いはじめる少女の人生。世間の脅威を目の当たりにしたとき失われる純粋性。第18回JFFHは、藤井道人監督来席のワールドプレミア「イノセント・ブラッド」よって5月31日、幕を開けます。今映画祭のさらなるハイライト、福島の多重災害を取り上げた佐藤太監督の原発ドラマ「太陽の蓋」は、上映時のゲストにプロデューサーの橘民義氏をお迎えします。
JFFHの伝統として、オープニングフィルム監督・藤井道人氏をはじめ、「デッド・オブ・ナイト」監督・加松直義氏および主演・白洲慶子氏、「ミートボールマシン」「レクイエム」シリーズ監督・山本淳一氏、「サファイア」監督・夜西敏成氏、主演・宇野ひとみ氏など、今年度も多数のゲストがそれぞれの上映に合わせて来独します。また、毎年ファン人気の高い、やはりJFFH伝統のジャンル映画のゲストとしては、カルト的人気を誇るSFXの重鎮・西村善廣氏をお招きしています。18回目となるJFFHでも、観客と製作者の交流は重要な要素となっています。
JFFHでも欠かせない大型作品としては、庵野秀明(「新世紀エヴァンゲリオン」)と樋口真嗣(「日本沈没」「のぼうの城」)両監督による超弩級スペクタルかつ怪獣映画の代名詞的シリーズの最新版、「シン・ゴジラ」を迎えます。ともにゲスト参加するカリスマ的人気のアクション俳優、坂口拓(「VERSUS -バーサス-」)主演の下村勇二監督作「RE:BORN」は特殊部隊内の連続殺人事件を描いたスピーディなアクションドラマ。佐藤寿保監督の海外初上映作品「眼球の夢」は文字通り目に刺さる、視覚的な心理トリップを披露。石井岳龍監督(「爆裂都市BURST CITY」「ELECTRIC DRAGON 80000V」)のファン待望の最新作「蜜のあわれ」は人間の女へ姿を変える金魚の不思議な恋愛がテーマに。そしてアニメファン向けのハイライトしては、マイケル・デュドク・デ・ヴィット監督の「レッドタートル ある島の物語」、片渕須直監督の「この世界の片隅に」、伊藤計劃原作のSF小説をアニメ映画化するプロジェクト、「Project Itoh」の全3作品およびアニメで有名なキャラクターを実写化した「CUTIE HONEY –TEARS-」があげられます。
今年度のJFFHプログラムは、例年に引き続き、フィーチャーフィルムから実験作品的ショートフィルムまで70を超える日本映画を用意、また数多くのドイツ・ヨーロッパ初公開や世界初公開作品を招待しています。今年も、アートハウス系の「NOH」、派手な苛烈な「NAGINATA」、色彩豊かな「ANIME」、そしてコメディ担当の「RAKUGO」という4カテゴリで、あらゆるニーズに応える第18回日本映画祭のラインナップを、たっぷりご堪能ください。