ある光
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Meidai Takahashi | 2010年 | 96分 | DV Cam | OmeU | Europapremiere
ある女が、死んだ。その女には、出口栞という名前があった。今はもう名前しかない。
彼女の恋人であった田伏悠は、彼女の遺骨を摂取することで、彼女であると思っていたものが、決して彼女としてだけ存在していたのではなかったということを 自らの身体を通して知るに至る。
彼女の兄であり唯一の肉親でもある出口真之は、その欠損についての説明を科学の視点からつけようとする。
彼女の友人として奇しくもその最後の瞬間に立ち会ってしまった柚原卓人は、半ば本能的に見て見ぬふりをしていたものを遂に目の当たりにしてしまったことに 気付かないまま、それでもしたたかに生き抜こうとする。
彼女の仕事上の接点があったに過ぎない南雲宗介は、しかし彼ら三人への取材をこころみることで、彼女を死に至らしめたもの、さらに大勢を死に追いやりかね ないものを言葉にしようとする。そして、彼女とはまったく無縁の少年である野口宏は、それこそ無縁の生活を送ることで、間接的に彼女を弔う。残された彼ら五人の共通するのは、彼らには名前のほかに身体があり、その身体には光があたることだ。
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